昨日は今年度初めて高校のコーラス部のレッスンに伺いました。男子2人、女子2人のメンバーに新たに1年生男子が一人加わり、合計5人です。今の時期は、演奏会やコンクールのために特に練習している曲もまだなく、何でもできる状況だったので、体の使い方をある程度やった後で、声帯の使い方に触れてみました。この人数なら無理なく目配りができそうです。
声帯は喉仏の中にあって、左右一対の分厚い粘膜の塊で、粘液が出ているので、声を出そうとすると左右から吸い付いてぴたっと閉じるのだという話をして、喉仏を斜め下に引き下げるようにすると声帯が引っ張られて伸び、高音が出るという仕組みを伝えました。すると男子3人が「すっげーラクです」と言うのです。さもありなん。男声の場合は高音も低音も地声のまま、ただ声帯を引っ張りさえすれば高音が出るのですから。ただし、どうやって引っ張るかが問題です。引っ張っているつもりで喉に力を入れて固めてしまうということがよくあるからです。喉仏を斜め下に引き下げようとすると結構体を使います。それで軸がぶれそうになるのを下半身でしっかり支えながら歌ってもらいました。そうすると上から下まで同じ響きで歌えました。
女声の方もいい感じでしたが、女性の場合は高音は裏声を使わないといけないので、声帯を引っ張るだけでなく、声帯の合わせ目だけを振動させるように使い方を変えないといけません。幸いあまり音域の広くない曲だったので、女声も無理せずに声帯の使い方のコントロールができ、素朴で素直な、いわゆる「いい感じ」のハーモニーが響きました。
小人数だからできたレッスンだったと思いますが、これまで声帯そのものにアプローチするレッスンはあまりしてこなかったので、これからは声帯の使い方にも触れていこうかなと思った次第。しかしこれは慎重を要します。もう少し研究が必要です。