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定演

我が母校の高校の合唱部が第1回定演を開催したのは私が高校3年の時でした。もうすぐ卒業という時期だったと記憶しています。解説の一部を書いたこともよく覚えています。今日はその母校の44回目の定演でした。微妙に計算が合わない気がしますが、細かいことにはこだわらないことにしましょう(笑)。

オープニングの校歌の途中で胸が熱くなってきました。この校歌はかの平井康三郎の作曲で、旧制女学校の名残の濃い歌詞の格調とも相俟って、卒業生のアイデンティティの一部をなしています。これを歌っていた頃の自分にあっという間にタイムスリップしてしまいました。

第1ステージはア・カペラの現代曲。うまい。よく揃ったノン・ヴィブラートの若々しい美声が耳に心地よく、ついウトウトしてしまいました。第2ステージは昭和から令和までのJポップ。遊び心たっぷりの楽しい演出でした。そして第3ステージはさすがの貫禄で、委嘱作品や現代の合唱曲を素晴らしい構成力で歌い上げてくれました。ここまででも十分に堪能させてもらいましたが、圧巻はラストの第4ステージ。2群の合唱に2台ピアノの伴奏の付いた大曲で、作曲者がステージに登壇され、この曲ができた経緯などを指揮者との対話形式でお話下さいました。初演予定だったコンクールがコロナパンデミックで中止となり、辛うじて作曲者と部員たちの保護者だけを客席に招いて、県立劇場コンサートホールで初演を行ったとのこと。今日はその時の部員たちと現役部員で2群の合唱を聴かせてくれましたが、2台ピアノのスケール感も相俟って、気迫に満ちた素晴らしい演奏でした。

音楽は時間を超えます。聴いている間中、今と高校時代の間を行き来するような不思議な気分でしたが、我に返った瞬間、当時の音楽の先生がもういらっしゃらないことにハッと胸を衝かれました。先生は昨年秋、私の母が亡くなった数日後に亡くなられました。あの頃の先生の年齢をとっくに超えた自分がここにいる。何とも言えない奇妙な浮揚感に足をすくわれそうになりました。きっと、若い人の演奏を聴くたびにこんな気持ちになりながら、だんだんに自分の老いを現実のものとして受け入れていくことになるのでしょう。


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