ドラえもんのお友達の名前は野比のび太君でしたね(笑)。のびのびと育ってほしいという両親の願いが込められた名前とのことですが、「のびのび」って良い言葉です。のびのびした字、のびのびした声、のびのびした性格… ドイツ語ではungezwungen(無理強いされていない)とかsorgenfrei(憂いのない)と表現しますが、私はレスナーとして生徒さんたちに「のびのびした声」を出させてあげたい、と常々思っています。
ところが現実にはその逆に、細かいことを言い過ぎてスケールの小さな歌にしてしまうこともしばしば。歌を歌う前にまず、体を必要十分に使って息を垂直方向に飛ばし、共鳴腔に届けて豊かな響きの声が出せるようにすることが第一です。よーくわかっているつもりでも、発表会前の今はついつい「歌いまわし」の方にフォーカスしがちで、昨日のレッスンで「歌うと喉に息が貼り付く感じがする」と言われてハッとしました。あ、息が上に飛んでいないんだ、と。それで、昔よくやった「トランペットのマウスピースを吹く」方法を応用してみると、声がコロッと変わりました。スカッとした爽快感も得られたようで、ようやく笑顔になった生徒さんを見て、このところまるで盆栽の剪定のようなレッスンになっていたことをいたく反省。このタイミングだからこそ、「のびのび」の初心に帰りたいと思います。