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ズライカ

 リート歌いなら誰でも知っているゲーテの『西東詩集』。ゲーテ70歳の時に刊行されたもので、オリエント世界への憧れに彩られた数々の詩からリートの名作がたくさん生まれています。
 ゲーテは恋多き詩人として知られますが、この詩集の中の「ズライカの書」には、彼が当時の恋人マリアンネと交わした数々の相聞歌が収められています。ズライカはマリアンネの別称、ゲーテ自身はハーテムという名で詩作しています。
 この「ズライカ」ことマリアンネが書いた、恋人に会える喜びを「東風」、別離の想いを「西風」に託した詩(これが『西東詩集』という詩集のタイトルに反映されています)に、シューベルトが「ズライカの歌Ⅰ」、「ズライカの歌Ⅱ」として付曲した1対の歌曲があります。「ズライカの書」をテキストにした歌曲はシューマンやメンデルスゾーン、ヴォルフなど他のリート作曲家も作っていますが、とりわけシューベルトのこの2曲は、規模が大きく訴求力の強い傑作だと思います。私も若い頃、シューベルトの作品だけのコンサートでこの2曲を聴き、強い印象を受けました。

 この「ズライカの歌Ⅱ」を3月のヴォーカルコンサート(生徒さんたちの発表会)で歌おうと思い、目下勉強中です。2つを比べるとⅠの方がほんの少し芸術性が高い感じですが、私にはなぜかⅡの方が親しみやすく、歌いやすいのです。曲想的には、不思議にも恋の喜びを歌ったⅠの方が不安を感じさせ、恋の痛みを歌ったⅡの方が爽やかな感じがするように思うのですが、なぜでしょうね。





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