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コールユーブンゲン

声楽を勉強したことがある人なら皆知っている「コールユーブンゲン」。
「合唱(コール)」と「練習(ユーブンゲン)」を合わせた語で、声楽の教則本の名前です。
昔は音大入試の必須科目だったので、声楽科だけでなくすべての音大受験生が勉強したものです。
最近は入試科目に入っていない音大もあるようですが、歌を専門的に勉強する人はやはり、これはやった方がいいと思いますね。

そう思うようになったのは、音大入試を目前に控えた高校生のレッスンを通してです。
コールユーブンゲンは悪く言えば無味乾燥なので、趣味で声楽を習う中高生にまでやらせなくてもいいかなと思っていましたが、この頃、趣味であれ専門であれ、基礎力中の基礎力である「確かな音程感覚」を身に付けさせてあげるのはレスナーの責任だろうと思い始めました。「確かな音程感覚を持っている」ということは、すなわち「階名でメロディを歌える」ということなのですが、意外とこれが難しいのですね。
今は音源がすぐに手に入るので、生徒さんたちも耳コピーで歌ってしまっていますが、耳コピーで歌っているそのメロディを階名で歌えて初めて、音程を正しくつかんでいると言えます。

音大受験生のレッスンでコールユーブンゲンを教えてみて、誰もがすんなり階名唱で音程を取れるとは限らないことがわかり、コールユーブンゲンという教材の有効性を再認識しました。とはいえ、何と言ってもコイツは無味乾燥で面白くない。趣味のレッスンで使うのはちょっとハードルが高いかな~。でも音程を感じる力は大事です。ピアノのレッスンにハノンが必須であったのと同じようなものでしょう。ハノンは確かに無味乾燥ですが、やっぱり基礎力をつけるにはとても有効性の高い教材だったなと思うんですよね。

ちょっと話がずれますが、私は、知っているメロディは楽譜がなくても階名で歌えます。階名というのは「移動ド唱法」のことです。小中学校の音楽の授業も移動ド教育でした。然るに、高校生の頃「固定ド」という唱法があることを知り、これでどうやって調性を感じるのだろうと不思議に思ったものです。固定ド唱法は「階名唱」ではなく「音名唱」だからです。ピアノ教育の影響でしょうか、当時、固定ドが音楽界を席巻しつつあり、音大に入ったら移動ドの方が少数派だったのでびっくりすると同時に、(和声学なんか特に)固定ドでどうやって調性音楽の構造を理解するんだろうと不思議で仕方ありませんでした。

くだんの高校生の「受験用コールユーブンゲン」の試験範囲はハ長調オンリーなので問題ありませんが、「移動ド固定ド問題」は私にとっては頭痛の種です。しかし、調性のあるメロディで音程感覚を養うには移動ドに如くは無し、と私は思っています。異論のある方がおられましたら、お説を聞かせて頂ければ幸いです。

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