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日本の歌

今日は古参のYさんのリサイタルでした。うちの生徒さんは勉強熱心な人が多いのですが、中でもYさんはお若い頃から(時には随分苦労しながら)ひたむきに歌の道を歩み、シニア世代となってからも勉強や演奏の機会を大切にしてこられた方です。会場は満席で、帰り際には皆さん口々に「素晴らしかったですね」、「とてもよかったですね」と言い交わしておられました。Yさんは「リサイタルはこれで最後にします」と仰って、今後は別の形で演奏を続けていくおつもりのようですが、形は変わってもきっと生涯歌い続け、学び続けていかれるだろうと思います。

プログラムは、中田喜直や山田耕筰のスタンダードナンバーや昭和の歌謡曲が中心でした。1曲だけ挟まれたオペラアリアが良いスパイスになって、聴き手を飽きさせない良いプログラミングだったと思います。一緒に聴きに行ったうちの父も、終演後にYさんに「最高でした」と言っていました。父は素人ですが、素人を感動させられることが本当に良い演奏の証だと思います。

声楽を専門に勉強した人間はどうしても外国語の歌ばかり歌ってしまいがちですが、日本語で歌うことは聴衆に対する一番の親切だと思います。そしてまた、歌い手側も歳を重ねるにつれて日本語の歌が歌いたくなるもののようで、かく言う私もドイツリートが好きなことは変わりませんが、日本語の歌に対するシンパシーが年々強くなっています。先日もS先生のレッスン会で、ご都合で参加できなかった生徒さんの代わりに、(その方が来月本番で歌われる予定の)中田喜直の「霧と話した」をみて頂いたのですが、あまり好きでなかったこの曲がぐっと心に迫ってくるようになりました。このことについては、また改めて書きたいと思います。

Yさんの歌には気品と温かさがありました。気持ちの良い余韻がまだ続いています。

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