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モラヴィアの二重唱

 随分久し振りに、ドヴォルザークの「モラヴィアの二重唱」という曲を引っ張り出して練習しています。チェコの作曲家アントニン・ドヴォルザーク(1841-1904)による全13曲の歌曲集です。
 ドヴォルザークと言えばチェコの代表的作曲家の一人で、小中学校の音楽室の壁に貼ってあった作曲家たちの肖像画の下に「国民楽派」と書いてあったのを覚えています。国民楽派は19世紀中ごろから20世紀にかけて興った音楽史上の一大ムーヴメントで、ヨーロッパの周縁の国々でロマン派の影響を強く受けながらも民族的な色彩の濃い作品が次々と生み出されていきました。
 チェコは大きくは西のボヘミア地方と東のモラヴィア地方に分けられます。「モラヴィアの二重唱」はモラヴィア地方の古い民謡集から歌詞を選んで付曲されているそうですが、素朴な自然の情景を背景にした恋人同士の掛け合いや、娘と森の木との問答などがテキストになっていて、どの曲からもモラヴィアの土の匂いが立ち上ってくるようです。ドヴォルザークの生家は肉屋と宿屋を営んでいて、父親は旅人を相手によくツィターという弦楽器で民謡を演奏していたそう。ドヴォルザークはその影響を受けて育ったのですね。この「モラヴィアの二重唱」は、民謡に強い関心を抱いていたブラームスの目にとまってドイツの楽壇に紹介され、それをきっかけにチェコの音楽が広く世に知られるようになり、ドヴォルザークが世界的な名声を博するきっかけともなったと言われています。
 その中から一曲、テキストをご紹介しましょう。

わたし、泳いであなたから逃げるわ

そうよ ドナウの流れを
大急ぎで泳いでわたし あなたから逃げるわ

待っておくれ 愛しいひとよ
君を川の中で捕まえてやる
ぼくの釣竿は
どんな魚でも捕まえるんだから

それじゃわたしはハトになるわ
飛んで逃げるためにね

青空の下では
わたしを捕まえられはしないでしょ

ぼくは家に
野生の大ガラスを飼ってるんだ、
そいつはどんなハトでも
ぼくのために仕留めてくれるさ

わたしもさっさと大きなカラスになって
あなたのそばから逃げるわよ

見知らぬ岸辺にね
ハンガリーの田舎のね。

ぼくの大きな石弓は
きみを決して撃ち損ねないよ
そうさ そいつは撃ち落としてきたんだ
カラスの魂を全部。

だったらわたし 星になるわ
空高くで。
人間の光になって

地上をやさしく明るく照らしてあげる。

それならぼくは 星占い師のもとで
一生懸命勉強するさ
きみを見つけられるだろうよ
すべての星の中から

きみは永遠にぼくのもの 神様がそう決められたんだから 

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