昨日はM先生のレッスンで、ヘンデルの「メサイア」第3部冒頭のソプラノのアリア「I know that my Redeemer liveth 」を歌いました。「メサイア(救世主)」はイエスの誕生、受難、復活を描いた壮大なオラトリオですが、第3部はイエスの復活を歌うこの曲から始まります。日本語に直訳すると「私は知る、私を贖う者は生きておられる」という意味で、イエスの復活に対する信仰が歌いあげられます。
この曲、実はロンドンの「ウエストミンスター宮殿の鐘」のルーツなのだそう。小中学校のチャイムの音です。
昔、イギリスに旅行した時、この有名なウェストミンスターの鐘、いわゆる「ビッグ・ベン」の音を聴きました。この時計塔はロンドンのランドマークで、世界文化遺産にもなっていますね。まあ、そう言われて改めて聴いてみないと、そうとは気づきません。でも、ドイツ生まれでイタリアでキャリアを積んだヘンデルが、その後イギリスにわたって活躍し、イギリスに帰化した人生と、そのイギリスでの彼の名声や「メサイア」の価値を思うと、このことはヘンデルとイギリスの深い結びつきを象徴する事柄のような気がします。
さて、「メサイア」の歌詞は聖書から取られていて、この曲は旧約聖書の「ヨブ記」と新約聖書の「コリントの信徒への手紙」から転用されています。ただ、そのまま抜粋したのではなく、文言が一部変更されていたり、イエスのことが終始一貫「彼(He)」と表現されたりしています(これは異教徒にも受け入れられやすいようにという配慮なのだそう)。この曲のテキストをご紹介します。
ヨブ記の部分は以下の通り。
I know that my Redeemer liveth,
and that He shall stand at the latter day upon the earth:
And though worms destroy this body,
yet in my flesh shall I see God.
私は知っている。私を贖う方は生きておられ、
ついには地の上に立たれるであろうことを。
そして、この肉体が蝕まれようとも、
私はこの身をもって神を仰ぎ見るであろう。
(ヨブ記 19章25-26節)
そして「コリントの信徒への手紙」からの部分は以下の通りです。
For now is Christ risen from the dead,
the first fruits of them that sleep.
というのも、キリストは今や死からよみがえったのだ、
眠れる者たちの初穂として。
(コリントの信徒への第一の手紙 15章20節)