クリスマスシーズンは讃美歌を歌ったり聴いたりする機会が多いですね。私も子供の頃教会学校に通っていたので、讃美歌にはとてもシンパシーがありますが、実は仏教の声明に惹かれます。声明の朗々とした渋い響きは、日本人の感受性を直撃します。すごく心に響くのです。
先日、以前レッスンにみえていた近所のお寺のご住職からお電話を頂きました。時候のご挨拶と安否確認(?)のお電話でしたが、このご住職の喋り声も渋くて魅力的です。ただ声明や読経は音程が割と限定されているので、その範囲を超える音程が出にくいようで、レッスンは音程の拡大と音感の育成が中心でした。西洋音楽的なリズム感にも苦戦されて、ボイトレとは別にピアノも習っておられました。苦手なことを克服しようというその姿勢と、「この年で初心者として自分より若い方にものを教わることは、大切な経験です」と仰る心映えが素晴らしいと思いました。
声明のCDを持っています。正倉院に収蔵の古楽器を復元するプロジェクトの一環で、復元された楽器と日本の伝統音楽の紹介のためにヨーロッパの教会をめぐるコンサートツアーが行われた時の録音ですが、このコンサートには何とローマ教皇も臨席されたそうで、世界の宗教間対話もここまで進んだかと驚いたものでした。