私が指揮者をしている合唱団のメンバーだった男性が、昨日「個人レッスンは初めてなんですが」と仰りながら発声のレッスンに来られました。今は県外の合唱団に所属しておられますが、コロナ禍で声を出す機会がなくなり、久し振りに再開された練習に参加してみたら声が思うように出なかったとのこと。

立派な体格で、お仕事柄人体の構造にも詳しい方ですが、少し猫背気味です。子供の頃からそれをよく指摘されていたとのこと。お声を聴いてみると、声帯の伸縮や開閉が少し弱くなっていました。そこで、動物の鳴き声や掌を押し合いながら声を出す方法で声帯のストレッチを行いました。それと共に、腹圧を高めるために丹田呼吸法や内転筋をしっかり使う練習をしました。呼気圧を強めて声帯を抜ける息のスピードを上げ、声帯に息がまとわりつかないようにするためです。

それぞれのメソッドで瞬間的には良い声が出るのですが、フレーズを通してそれを維持するためには、腹圧を維持するための全身的なバランスが必要です。それには姿勢を保持する筋力が必要です。猫背気味を修正し、まっすぐな立ち方を覚えて頂くために壁に張り付いて頂いたり、内転筋の筋力アップのためにスクワットをして頂いたり、背中に不要な負荷をかけないような立ち座りの仕方を練習してみたり、あの手この手の１時間でした。良い発声は一日にしてならず。また来て頂けるといいなと思います。