昨日のYさんのレッスンで、以前自分が「鐘が鳴ります」というゆったりした日本情緒たっぷりの曲のレッスンを受けた時に「あなた、何を考えて歌っている?」とズバリ指摘されたことを思い出しました。
ゆっくりした歌を歌う時には特に構成力が必要です。つまり、メロディに酔ってしまわないで、フレーズの終わりに向かって進もうとする意識を持ち、さらに曲全体を見通して、今どのあたりにいるのかということを意識して歌うのです。シューマンが「音楽の座右銘」の中に「拍子どおりにひきなさい!多くの名演奏家のひき方は、まるで酔っぱらいが歩いているようです。くれぐれも、そのような人びとをお手本にしないでください。」という言葉を遺していますが、本当にその通りだなあと思います。千鳥足の音楽では、聴き手は自分がどこに連れていかれようとしているのか不安になってしまいます(笑)。目的地に向かって進んでいる演奏は安心して聴けるんですよね。