11月に日本歌曲のリサイタルを予定していらっしゃるYさんがレッスンにみえました。
プログラムは懐かしい曲がいっぱいです。私の祖母が好きだった(と叔母から聞きました)「ここに幸あり」など、令和の時代には少々そぐわない歌詞ながら、これが女心というものかと思わされますね。他にも「白鳥の歌」、「遠くへ行きたい」、「城ヶ島の雨」など、おそらく私たち世代ぐらいがギリギリ知っているような歌謡曲系、また「さくらさくら」や「中国地方の子守歌」のような伝承歌謡、「ペチカ」や「松島音頭」などの親しみやすい歌曲や「落葉松」のような芸術歌曲もあり、年配のお客様に喜ばれそうな曲目が並んでいます。
こうして俯瞰すると、日本の歌ってご当地ソングが多いんだなと思います。そして、基本的に曲想がウェットですね。ドイツのオーケストラでは日本の歌謡曲が人気だと聞いたことがありますが、わかるような気がします。音楽に湿度が感じられるので、ドライな風土の音楽にはない魅力が感じられるのでしょう。
高温多湿な日本の風土は、体感的には(少なくとも私にとっては)あまり好ましくありませんが、文芸、音楽、建築、その他文化百般にこの風土は如実に反映されていて、それが魅力でもあるのですね。Yさんのリサイタル、楽しみです。