地声と裏声

男性のレッスンをしていて時々困るのが、テノールの方が実声（地声）のまま高音域を歌おうとして音程がぶら下がったり声がかすれたりする時です。「そこはファルセットにして下さい」と申し上げても、やり方がわからない、という方がいらっしゃいます。ヨーデルやホーハイ節の真似をして下さい、というのですが、出し方がイメージできなうようなのです。男性の場合、自分の声種の音域は大体地声（実声）のまま出せますが、女性は地声オンリーで出せるのは一点ヘ音ぐらいまでなので、クラシックの発声に関して言えば、女性は歌う時はずっと裏声を使っています。しかし男性のファルセットはいわゆる「芯の無い声」で、大きな声は出せません。声帯のコントロールを身に付けるには、まずはこの（多少息交じりの、力の抜けた）ファルセットの出し方を会得し、地声と裏声の両方が自在に出せるようになることからです。