今日は「支え」について。
声楽のレッスンでは「お腹でしっかり支えて!」という言い方がよくされますが、一体「何を」「どのように」支えるのでしょうか。
声を支えるとは、「体中のさまざまな筋肉を使って呼気と吸気のバランスを取る(=息をコントロールする)こと」です。息を吐くための筋肉と吸うための筋肉は拮抗しているので、そのバランスが悪いと声も体もふらついてしまいます。内肋間筋(呼気筋)と外肋間筋(吸気筋)、横隔膜と補助呼気筋群(腰筋、背筋、腹筋など)など、拮抗して働く筋肉を同時に使い、全身的にバランスを取りながら呼気を長く保つ。これを私の師匠は「デュアル」と表現しておられました。声を出すのには筋力が必要ですが、それは息を支えるため、すなわち呼気を長く保つために必要なのです。力を入れて固め、拮抗する筋肉の動きを力で止めることではありません。「お腹に力を入れて」という指示は要注意。支えとリキみは似て非なることとご理解ください。