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誌上発声セミナー再録(17)

今日から発声器官の話に入ります。発声器官とは、喉仏の奥にある小さな「声帯」のことです。この声帯が息を声に変換する装置なのです。

声を出すしくみを考える時、便宜的に「呼吸器官(肺とその周辺)」と「発声器官(声帯とその周辺)」と「共鳴器官(副鼻腔とその周辺)」に分けるとわかりやすいと思います(もちろん、実際には3つが同時に連動しています)。ただ、声帯は目に見えないし、実際の声を聴きながら注意深くその状態を追っていかないと危ないので、紙面で伝えられることは限られていますので、ここではごく基本的なことをお伝えしたいと思います。

1.声帯は「閉じ」ます。

よくある混乱ですが、「喉を開けて歌いなさい」という指示を「声帯を開ける」ことと混同しないように。声帯とは、喉の左右両側から中央に向かって隆起した分厚い粘膜の塊です。分厚いと言っても1㎝前後の小さなもので、表面は粘液で覆われています。内部に5種類の声帯筋があり、この筋肉で声帯を閉じたり開いたり引き伸ばしたりするのです。呼吸時はこの一対の声帯が前(喉仏の方)から後ろ(首筋の方)に向かって開き、そのスキマから空気が出入りするのですが、声を出す時は左右の声帯がぴったり閉じ、肺から出てきた呼気がその間(声門と言います)をこじ開けて出てくるのです。その時に声帯が複雑な波動運動を起こして「気流音」を作ります。これが声の素(「喉頭原音」)で、ここではまだスキマ風のような音です。これが共鳴腔に届くと、響きのある声になるのです。

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