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誌上発声セミナー再録(2)

~ベル・カントの2つの流れ~

 ベル・カントとは「美しい歌唱(法)」という意味のイタリア語ですが、これはオペラ創始以来イタリアで実践的に探求されてきた、歌手たちの声楽的表現技術の向上のための方法論です。17~18世紀にかけて発声法の原理や技術の体系化が進み、時代とともに改良され、確立してきました。

現在、「ベル・カント」と呼ばれる発声法には2通り、ないし3通りあると言われています。そのうちの1つは、声帯を十分に鍛えて強靭な喉を作り上げ、その声帯を徹底的に鳴らすことによって、インパクトの強い張りのある声を出す方法です。イタリア人は人種的に強靭な声帯を持っていると言われており、この発声で野外劇場でも十分に響く声を作り上げていったのでしょう。日本でもベル・カントと言えばこちらを指す方が多いかもしれません。しかし、かつてイタリアで学んだ北欧の多くの歌手は、この方法によるトレーニングで喉をつぶしてしまったそうです。繊細な声帯だと壊れてしまう危険性が大きそうです。

これに対して、声帯を全く意識せず、喉になるべく負担をかけないように全身の筋肉をバランスよく使い、空間全体を共鳴体にしてホールの隅々にまで声を届ける方法があります。こちらの発声法は、人体のメカニズムを良く知り、あくび・ため息・笑いなど人間の生理現象を活用し(つまり自然の法則に則って)、発声時の身体全体のバランス感覚を養いながら声を磨いていきます。多くの日本人はイタリア人のように強靭な声帯を持ち合わせていませんから、この発声法の方が万人向きだと言えるでしょう。私が教わり、また探究している発声法もこちらです。

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